テープLEDを使った室内灯を常点灯化する その3
さて今回は、テープLED式室内灯の過去記事を回路図を使って説明します。
下の図がテープLED式室内灯 試作1号車の回路図です。
シンプルにテープLEDとブリッジダイオードだけの構成です。
PWM電源が線路に供給されると、電圧が12Vの時だけLEDチップが点灯して0Vの時は消灯するので、短い周期で点滅します。 しかし点滅の間隔は肉眼では判らないくらい短いので、見た目には点灯しているように見えます。
PWMパワーパックのスロットルを全開にするとデューティー比(パルス幅 ÷ 周期)は100%になって、LEDは点きっぱなしの点灯状態になるのですが、その状態では室内灯としては明るすぎますが、偶然にも車両が動き出す前くらいのデューティー比でちょうど良い感じの明るさになってくれます。 ところが、車両のスピードが上がるにつれて室内灯も明るくなってしまうんです。
そこで、TOMIX純正の常点灯仕様の室内灯と同じように、ブリッジダイオードで整流した後にコンデンサーで蓄電して、停止時でも走行時と同じ明るさに保つように改善したのが試作2号車です。
テープLEDに 10μF のコンデンサーを追加して、電流制限抵抗を 1kΩ に付け替えてみます。
コンデンサを追加することで、蓄電された電圧が赤色の波形のようになって、デューティー比が変化しても常にピーク電圧がLEDテープにかかるようになるので、停車時でも走行時の明るさを保つ効果があります。 しかしその分、明るくなりすぎるので、電流制限抵抗を変更しています。 これが常点灯のしくみです。
ところが電流制限抵抗の値を探っていたところ、新たに見つかったのがダイオードの逆回復時間の問題です。
一般の整流ダイオードでは逆回復時間が数μsあるので、パワーパックのPWM波形が 12V から 0V に立ち下がった後も逆回復時間の間ダイオードが導通状態になってしまうことで、試作2号車のコンデンサに蓄えられた電気がコンデンサの無い試作1号車の方に逆流し、試作1号車の室内灯の明るさに影響してしまいます。
そこで、ブリッジダイオードをショットキーバリアダイオードに変更して対策を施します。
フルブリッジのショットキーダイオードが見つからなかったので、ハーフブリッジを2個つなぎます。 これで逆回復時間の問題は解決しました。 電流制限抵抗の値をいろいろ探った結果 4.7kΩ に落ち着きました。
実電流を測ったところ、1両あたり 1.4mA です。 テープLEDを2モジュール使っているので、実際にLEDチップに流れる電流は 0.7mA となります。
交換した 4.7kΩ の抵抗に流れる電流も 0.7mA なので、消費電力は 0.0007^2 × 4700 ≒ 0.0023W です。 発熱量としても全く問題ないでしょう。
そして、「テープLEDを使った室内灯を常点灯化する その2」 で製作した室内灯の実電流は、1.2mA でした。 こちらはテープLEDを5モジュール使っているので、LEDに流れる電流は 0.24mA で、抵抗の消費電力は、0.00024^2 × 15000 = 0.000864W でした。
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